負債を減額する方法の1つに個人再生があげられます。
個人再生は、裁判所を通じて負債(借金)を減額できる法律で認められている債務整理であり、負債を最大10分1程度まで減額できる可能性があります。
しかし、手続きが複雑で専門知識を持った人に依頼しなければ手続きが難しいのも事実です。
負債にお悩みの方は、メリット・デメリットを理解した上で、個人再生を利用してみてください。
- 個人再生には小規模個人再生と給与所得者再生がある
- 個人再生の手続きは弁護士に依頼する
- 個人再生でかかる費用はおおよそ50万円〜70万円
- 個人再生を行うメリットは借金を大幅に減額できる
- 個人再生を行うデメリットは信用情報に事故歴として登録される
- 継続した収入ががなければ個人再生を申請できない
個人再生とは|借金を減額できる制度

個人再生とは、負債を返済できなくなった人が、裁判所に申し立てをして、負債を減額してもらう制度のことです。
減額された負債は、決められた年数の間に分割で支払います。
支払いの期限は決まっており、3年で支払いを済ませる必要があります。
しかし、収入が減ったなど特別な事情があって3年での返済が難しい場合は、裁判所に認められると返済を5年までのばせます。
個人再生の制度を利用すれば、負債総額によって減額される金額は異なりますが、最大10分の1まで債務を減らせる可能性があります。
個人再生には、以下2種類の手続き方法があります。
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生
では詳しく解説していきます。
小規模個人再生|職種は問わず要件を満たせば利用できる
個人再生は一般的に小規模個人再生の手続きが利用されます。
小規模個人再生は、職種は問わず、自営業でもアルバイトの人でも要件を満たすことで利用可能です。
小規模個人再生の利用要件は以下の通りです。
- 住宅ローンを除く負債額が5000万円以下の場合
- 個人に継続した収入がある
- 債権者からの過半数の同意が必要
認められた場合は、再生計画案の返済額に応じて支払いを行います。
再生計画案とは、減額された負債を債務者が今後どのように返済していくのかをまとめた書面のことです。
最低弁済額は、以下の通りです。負債額により金額は異なります。
負債額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 負債全額 |
100万円〜500万円以下 | 100万円 |
500万円〜1,500万円以下 | 負債額の5分の1 |
1,500万円〜3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円〜5,000万円未満 | 負債額の10分の1 |
参照元:個人再生手続利用にあたって
例えば300万円の負債があった場合、通常であれば全額返済しなければなりませんが、最低弁済額が適用されると、100万円までの減額が可能です。
100万円を3年で返済すると、100÷36か月で月々約28,000円となります。
負債の額に応じて最低弁済額まで支払額を下げられることは、個人再生を利用する最大のメリットです。
負債額には、住宅ローンは含まれずその他の負債の額です。
給与所得者等再生|安定した収入がある会社員が利用できる
もう1つの手続き方法が、給与所得者等再生です。その名の通り給与を確実にもらえる、会社員の方が申込可能な制度となります。
給与所得者等再生では、小規模個人再生では必要な債権者の同意も必要ありませんが、個人事業者の方は利用できません。
会社員の方が利用できる制度ですが、会社員の方も小規模個人再生を利用するため、一般的にあまり利用されません。
司法統計によると、令和2年の小規模個人再生は12,064件、給与所得者再生は777件と15倍ほど差があります。
参照元:司法統計年報概要版
あまり利用されていないことが分かります。
給与所得者等再生が利用されない要因として、債権者の同意は必要ない代わりに、小規模個人再生を利用した場合より、減額された返済の額が多くなる可能性があるからです。
給与所得者等再生の利用条件は以下の通りです。
- 給与所得があり収入が安定している
- 住宅ローンを除く5,000万円以下の負債
- 可処分所得(給与やボーナスから税金を引いて残った金額)が2年分
給与所得者等再生が認められると返済額は減額され、可処分所得の2年分か、再生計画案の最低弁済額どちらか多い方の額を返済します。
収入から税金や社会保険料を差し引いた所得で、自由に使用できる手取り収入のことです。
小規模個人再生は再生計画案に基づいた返済額と定められているのに対して、給与所得者再生は、可処分所得2年分も条件に含まれるため1つ条件が追加された形です。
個人再生の手続きの流れとは|弁護士に依頼から裁判所に申し立てをする

個人再生の手続きの流れは以下の通りです。
個人再生の手続きは複雑であるため、弁護士に依頼することをおすすめします。
個人再生など債務整理の相談は、無料で行ってくれる法律事務所が多くあります。
債務者の負債状況や債務者の資産、継続した収入があるかなどをヒアリングした上で、個人再生が可能かどうかを判断します。
個人再生申し立てを依頼することとなれば、委任契約を締結します。
債務者と弁護士の間で委任契約の凍結が行われると、弁護士が債権者に受注通知を送ります。
受注通知とは、債務者が個人再生の手続きを行うことを、債権者に知らせる通知です。
この受注通知が送付されると、債権者からの直接の取り立ては止まります。
同時に債務者の取引に関する開示請求を行います。取引の中で、利息を多く払っていないか、現在の支払い残高や借入状況を確認するのです。
開示請求にかかる期間は、おおよそ1ヶ月程度です。
個人再生申し立てに必要な書類(資産状況を確認できる書類や収入を証明できるもの)を集めます。
通帳、車検証、収入証明書などの書類が該当します。
また住宅を残したままの手続きでは、住宅費ローンに関する資料も必要です。
この書類調査で、小規模個人再生か給与所得者再生のどちらかが判断されます。
書類の準備が終われば、裁判所に申し立てをおこないます。
お住まいの地域の、地方裁判所に申立書類を提出します。
申立書類の審査が完了すると、個人再生委員を選出します。
個人再生委員とは、個人再生の開始決定を認可するか、返済能力があるかを判断し、債務者のサポートを担う人です。
個人再生委員は選出されない地域もあるので、各自治体で対応が異なります。
個人再生委員は、弁護士から選出されます。
この個人再生委員との面接では、今後の返済計画や収入の維持などについて詳しい説明を求められます。
面談が終了すると、次は履行可能性テストです。
履行可能性テストとは、債務者が返済を続けられるかどうか、個人再生委員が判断するものです。
履行可能性テストは6回に分けて、再生計画で決定した額と同額の金額を、債務者が指定された口座に振り込みます。
1回目の支払いがスムーズになり、継続して振り込めた場合、6回分支払うより前に終了できるテストです。
支払われたお金は、個人再生委員の費用にあてられ、差額が生じると返金されます。
履行テストに合格すると、個人再生開始が決定されます。
個人再生委員が、裁判所に意見書を提出してから、手続きが認められると早ければ1ヶ月程度で開始されます。
個人再生が開始されると、債権者に開始決定が通知されます。
同時に債権の届出の提出を、裁判所は求めます。
債権者は、この債権に基づいて負債の減額に応じるかどうかの意思表示を裁判所におこないます。
債権者が認めた場合、債務者は再生計画での返済額での返済が可能となります。
債権者が金額に納得できなければ、裁判所に異議申し立てを行います。
裁判所は、双方の主張を受け入れ最終的に返済額を判断します。
金額が決定されると、再生計画中案の作成です。
弁護士は、これから支払う借金の返済計画を決定します。
書式に沿って記入し、個人再生委員のチェックを経て裁判所に提出されます。
再生計画案の提出が裁判所から認められると、個人再生の申請手続きは完了です。
返済が始まるのは、おおよそ決定が確定した日の翌月から始まります。
返済回数は、1ヶ月に1回の時もあれば、3ヶ月に1回の時もあります。
参考元URL:個人再生手続利用にあたって
債務者は、これらすべての手続きを、弁護士もしくは自ら行います。
司法書士に依頼することもありますが、司法書士が行えることは、書類の作成のみです。
弁護士への依頼であれば、すべて弁護士に任せられますが、司法書士の場合、代理人にはなれません。
そのため裁判所でのやり取りは自ら行わなければならないので、負担は大きくなります。
さらに、裁判所が定めた期間内にすべての手続きを終えなければなりません。
期間内に、手続きを終えられない場合は、すべてが無効になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
債務者は自身の財産状況を正確に伝えること
債務者は、自ら現在の財産状況の情報を債権者に伝え、誠実に対処しなければなりません。
負債返済中に、もし返済が困難となって支払えない状況になると、再生計画は無効となります。
そのような事態になれば、減額される前の全額の負債金額を払わなければならない可能性もあるのです。
手続きに必要な書類の収集や返済の支払い期日は必ず守りましょう。
もし支払いが困難になった場合は、担当の弁護士にすぐに相談しましょう。
個人再生でかかる費用は|弁護士に支払う費用と裁判所に支払う費用

個人再生でかかる費用は、おおよそ50万円〜70万円程度です。
費用の内訳としては、弁護士に支払う費用と裁判所に支払う費用の2つに分けられます。
弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金の3種類です。
個人再生で必要になる費用のほとんどが弁護士費用といわれます。
では、名の知られる法律事務所5社を比較した費用の平均相場を見てみましょう。
内訳 | 費用 |
---|---|
相談料 | 無料が多数 |
着手金(0円の事務所もある) | 30万円〜 |
報酬金 | 住宅ローン【なし】20万円〜 住宅ローン【あり】30万円〜 |
参照元:アディーレ法律事務所、天音総合法律事務所、アース法律事務所、ベリーベスト法律事務所、はたの法務事務所
各弁護士事務所の報酬金は、住宅ローンが組みこまれるかどうかで大きく価格が変動します。
個人再生には、住宅ローン特則があります。
住宅ローン特則とは、住宅ローン等の支払いは従来通りに継続し、その他の負債を個人再生で減額できる制度のことです。
この制度を利用すれば、マイホームを残しながら借金を減額できます。
参照元:民事再生法|e-Gov法令検索
裁判所費用は、予納金、収入印紙、郵便切手の3種類です。
裁判所費用にかかる金額は全部を合わせても、数万円程度です。
内訳 | 費用 |
---|---|
予納金 | 12,268円 |
収入印紙 | 10,000円 |
郵便切手 | 数千円 |
参照元:個人再生事件の手続費用等一覧
この費用にプラスして個人再生委員を選出すると費用が発生します。
個人再生委員に支払う費用は、数十万円ほど要しますが、履行テストで支払う金額6回分の中に含まれています。
個人再生を行うメリットとは|借金の返済が無理なくできる

個人再生をおこなうメリットは、借金が大幅に減額される可能性がある、財産が処分されない、強制執行されないことがあげられます。
個人再生をおこなうメリットは以下、3つです。
- 借金が大幅に減額される可能性がある
- 財産が処分されない
- 強制執行されない
では、詳しく解説します。
借金を大幅に減額される可能性がある
個人再生の制度を利用することで、負債は元の負債額から最大10分1にまで減額されます。
しかし、例外として100万円以下の負債は減額できません。個人再生を行う決まりとして100万円以下の債務は、自分で払うことを基本としているからです。
また、個人再生を申請するには多くの費用がかかります。おおよそ50万円〜70万円の費用です。100万円以下の債務では、個人再生を行うメリットはあまりないといえるでしょう。
さらに個人再生では、支出の大半を占めるであろう住宅ローンが、減額の対象にはなりません。
マイホームを残しながら負債を減額できるのは良いのですが、対象にならなければ、住宅ローンの返済が困難になるかもしれません。
住宅ローンは減額の対象にはなりませんが、個人再生を行えば住宅ローン返済の救済措置が設けられます。
- 再生計画後は住宅ローンの返済猶予ができる
- 住宅ローンを分割で支払える
これらの措置の利用で、個人再生後もマイホームに住み続けられます。
財産が処分されない
個人再生は、ほかの債務整理とは異なり財産が処分されません。
財産の対象は、マイホームに限りません。ローンを支払済みならば自動車も含まれます。さらに株式や現金貯金なども含まれます。
しかし個人再生後に、財産を所有するにはルールがあります。再生計画で、清算価値保証原則が満たされなければいけません。
清算価値保証原則とは、個人再生を行った場合の最低返済額を所有する財産が上回らないようにすることです。
参照元:民事再生法|e-Gov法令検索
例えば、負債総額が300万円あるとします。財産を何も所有していなければ、個人再生の手続きで100万円までの減額です。
しかし財産が200万円あれば、100万円までの減額ではなく200万円の減額となります。
返済額よりも多くの財産は処分の対象となるため、注意が必要です。
強制執行されない|債権者に給料など差し押さえされなくなる
支払いを滞納してしまった場合、給料や銀行口座が差し押さえとなる場合があります。
しかし、個人再生の手続きが始まると、債権者は債務者に差し押さえができなくなります。
仮に手続き前に差し押さえがされている場合でも、個人再生の手続きを行ったときは、差し押さえの停止も可能です。
個人再生をおこなうと生じるデメリットとは|信用情報に事故歴として登録される

個人再生をおこなうと生じるデメリットは、手続きが複雑で時間がかかる、一定期間ローンを組めないなどがあげられます。
手続きが複雑で時間もかかる
個人再生の手続きをするには、多くの書類を用意しなければなりません。
必要な書類とは以下のものです。
- 債権者一覧表
債権者の氏名、住所、負債額、借入の種類が記載された書面です。
- 財産目録
債務者の財産を記載した書面です。
- 住民票の写し
住民票のコピーではなく、住民票の写し本体が必要です。
本籍やマイナンバーの記載がされているものが求められます。
- 収入が分かる書面
具体的には、源泉徴収票、給与明細、課税証明のことです。
また住宅ローン特約を利用する場合は、住宅ローン契約書や登記簿謄本、不動産鑑定書も必要です。
書類も複数あり、手続きが複雑です。同時に時間も費やします。
必要な書類を集めてから、書類を裁判所に提出するまでに何ヵ月もかかり、さらに申立て後から裁判所が個人再生の決定を下すまでに半年以上かかることもあるのです。
信用情報に事故歴として登録される
個人再生を行うと、信用情報に事故歴として登録されます。
信用情報機関とは、クレジットカードや銀行、消費者金融、ローン契約など個人の申し込み情報を管理、提供する機関のことです。
この機関に、事故情報が登録されることで、しばらく借り入れができない状態になります。
事故情報とは、「返済をしない」「返済が遅れる」「法律を利用して負債を減額する」などをおこなった人の履歴です。
これが信用情報に事故歴として登録されることを意味します。
官報に個人情報が掲載される
個人再生を行うと、官報に名前や住所が記載されます。官報とは、国が発行する法令公布の新聞のようなものです。
官報に一般の方の名前が記載される時は、債務整理を行った時です。
名前が記載されると、周囲にバレてしまうのではないかと考えます。
しかしこの官報は一般の方が見ることはほとんどありません。なぜならば誰もがすぐに手に入れられるものではないからです。裁判所でのみ発売されています。
さらに毎日情報が更新されるので、特定の方の名前を検索することは困難です。
一定期間ローンが組めなくなる
個人再生を行うと、一定期間ローンは組めません。
個人再生は債務整理にあたり、信用情報に事故歴として登録されます。
住宅ローンや各ローンに申し込みをしても、審査に通ることは難しいでしょう。
ローンを組めない期間は、5年〜10年程度とされます。
債務整理 | |
---|---|
日本信用情報機関(JICC) | 5年 |
シー・アイ・シー(CIC) | 5年 |
全国銀行協会(JBA) | 10年以内 |
参考元:シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機関(JICC)、全国銀行個人信用情報センター|全銀協の活動を知りたい方
個人再生をすると周りにばれる可能性もある
個人再生を行ったことは、原則周りにばれる可能性は低いでしょう。
なぜならば個人再生を行うと、弁護士から債権者に個人再生を行ったことが通知され、債務者への差し押さえなどはいったんストップします。
差し押さえが止まると催促の連絡がなくなるため、家族にバレる可能性は低くなります。
また裁判所から送られてくる書類などは、弁護士のもとに届き、自宅に発送されることはありません。
しかし、個人再生を利用してばれる可能性がある時があります。
同居の家族が働いている場合
人再生に必要な書類に、家計収支書があります。
配偶者に収入があるときは、家計収支書に記載する必要があり、収入を示す書類を提示してもらう時に、バレる可能性があります。
官報への記載を見られた場合
官報には、名前や住所が記載されています。裁判所で購入できるだけでなく、インターネットでも閲覧可能です。
官報がある事自体、知っている方は多くはありませんが、官報でバレる可能性もあることは覚えていてください。
個人再生できない場合とは|安定した収入がないこと
個人再生できない場合には、継続する収入がない、負債額が5000万円を越えているなどがあげられます。
継続する収入がない
個人再生を申請する条件として、継続した収入があることがあげられます。
負債額が5000万円を超えている
個人再生を認可する条件として、住宅ローンを除く負債が、5000万円以下であることが定められています。
しかし、住宅を売却してしまった時に残った負債は、5000万円の基準に含まれます。
5000万円以上の負債がある場合は、民事再生を利用しなければなりません。
個人再生にかかる費用を負担できない
個人再生を申請するにあたり、さまざまな費用がかかります。
弁護士に払う費用や裁判所に払う費用、個人再生委員に払う費用です。
弁護士に払う費用は、分割払いに対応している事務所もありますが、一括払いのみの事務所もあります。
弁護士に費用が払えなくなると、個人再生の申請が無効となり、減額前の返済額を支払わなければならない可能性があるのです。
上記いずれかの条件に当てはまると、個人再生の申請を裁判所に行っても受理される可能性は低いでしょう。
個人再生と他の債務整理(任意整理や自己破産)との違いとは|減額される負債額が異なる

個人再生は、裁判所を通じて債務の元本を減額して返済をする制度です。
任意整理は、弁護士が債権者に負債の利息をカットするように交渉して、負債額を減額する制度です。
自己破産は、債務者が負債の返済能力がないと裁判所が判断(免責許可が決定)すれば、すべての負債の返済が免除される制度です。
それぞれの債務整理を利用する人数は、大きく異なります。
債務整理の種類 | 利用人数 |
---|---|
任意整理 | 正確な人数は不明 |
個人再生 | 小規模個人再生 10,509件※ 給与所得者再生 740件 |
自己破産 | 73,457件※ |
任意整理は、裁判所に書類を提出する必要がないため、詳しい人数は不明ですが、3つの債務整理の中で最も手続きが手軽にできるため、利用者が1番多い債務整理です。
任意整理との違い|任意整理は利息分の返済を減額できる政務整理
任意整理とは、払うのが困難になるほどふくれあがった借金を減額するために、債権者に交渉することです。主に利息分の返済を減額できます。
利息は上限を15%〜20%と定められています。この上限を超えた利息は払う必要がないのです。
しかしこれは改正賃金業法が施行された後のことで、それ以前は、金利の上限は29.2%とされていました。
改正賃金業法とは、消費者金融や貸金業者らからの借り入れについて定めている制度の事です。平成18年12月に国会で可決され、平成22年6月18日に完全施行されています。
金利の上限29.2%は、民法上は無効になる利息ですが、刑事罰が科せられなかったため、グレーゾーンの金利と呼ばれていました。
任意整理では、平成22年6月18日以前の高額な利息の減額が可能となります。
任意整理でできる交渉は以下の通りです。
- 利息をカットして分割払いする
- 一括払いを約束する代わりに負債額を減額する
- 取り立ての連絡を停止する
任意整理するメリットは、利息が減る分完済への道が早まります。
また、個人再生や自己破産では、書類の手配や記入など手続きが複雑で時間がかかります。
さらに裁判所を利用しなければ、手続きはできません。
任意整理は、手続きに必要な書類が少なく、裁判所を利用する必要もありません。
任意整理のデメリットは、個人再生や自己破産に比べて減額される負債額が多くないことがあげられます。
また他の債務整理と共通して、信用情報に傷がつき借り入れやローンを組むことは、最低5年間はできません。
参照元:日本司法支援センター法テラス
自己破産との違い|自己破産はすべての負債をなくす債務整理
自己破産とは、破産申立書を裁判所に提出して全ての負債をなくすことです。
自己破産するためには、一定の条件があります。
- 裁判所が債務者の返済不能を認めた時
- 財産がほとんどない
- 負債が高額で返済しきれない
自己破産は、債務整理の中でも最終手段の方法です。
自己破産の最大のメリットは、負債の返済が一切不要になることです。
そのため債権者にはメリットがないことから、債務者が負債を免除される代わりに、制裁を受けなければなりません。
制裁の1つとして、財産を一切所有できないことです。最低限の財産のみの所有が認められます。
最低限の財産とは、家財道具や20万円以下の現金などがあげられます。
他の債務整理同様、信用情報機関に傷がつきます。他の債務整理では、最低でも5年間の借り入れやローンを組めないこととなりますが、自己破産では、10年間は借り入れやローンは組めません。
また公的資格のある職業には、一定期間就けません。
一定期間とは、復権するまでの期間です。復権は、免責許可決定が確定すると解除されます。
免責許可決定とは、裁判所が債務者に対して借金の免除を認めたときに出される決定のことです。
参照元:破産の手続・自己破産の申立てを考えている方へ|裁判所
まとめ
個人再生は、法的に認められた負債を減額できる手段です。
マイホームや車を所持したまま、負債を減額できるメリットがあります。
反対に、信用情報に傷がつく、手続きが複雑で弁護士に頼らなければならないなどのデメリットがあるのも事実です。
しかし、負債が減額されれば、返済後のライフプランをたてやすくなります。
負債に悩んでいる方は、まず弁護士に相談することからはじめてみましょう。